RSウイルス(RSV)ってなに?|八尾市・大阪市平野区|はらだ小児科・内科・アレルギー科|小児科・新生児内科・アレルギー科・内科

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RSウイルス(RSV)ってなに?

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★RSウイルスって?

赤ちゃんからお年寄りまで誰でもかかる、気道感染症です。
兄弟や保育園からうつることが多く、2歳までにほぼ100%かかると言われています。

年長児や大人では、たいてい上気道症状、つまりカゼで終わります。
でも、新生児・乳児・幼児では細気管支炎や肺炎といった下気道感染に至り、重症化します。
小児科で入院となる病気で最多なのがRSウイルスで、WHOによると世界で年間320万人が入院、6万人が死亡すると言われています。

★どんな経過?
潜伏期間は5日前後で、鼻水・咳が出てきます。その日か翌日から熱が出ますが、たいていは数日で解熱します。でも、呼吸が一番しんどくなるのはその頃です。発症から1週間程度で峠は越えますが、しばらくは咳や鼻水が続きます。咳や鼻水は完治しなくても、ある程度落ち着けば登園はできます。

★検査について
抗原検査(お鼻から採取して数分で結果の出る検査)での診断が通常ですが、重症化しやすい年齢や基礎疾患のお子様以外は軽症のため、検査の必要はありません(1歳以上では検査の保険適応はありませんが、当院では入院を考慮する子など必要な場合は検査しています)。

★治療について
RSウイルスそのものを退治するお薬はありません。自分の免疫力で回復するまでの間、少しでも重症化や入院を避けるための治療をします。病院では、鼻水をしっかり吸ったり、肺炎になってないか・細菌感染を合併していないか・酸素は保たれているか・喘息症状を起こしていないかといった確認をします。

★ご自宅でできること
・ミルクは1回の量を減らして、回数を増やしてください。離乳前の子は、離乳食は無理して与えなくても大丈夫です。
・離乳がすんでいる子では、水分を摂るようにしてください。その際は、糖分や塩分が含まれているものが理想です(経口補水液・薄めのジュース・スープなど)。
・鼻水はできるだけ吸引してあげてください。本人は嫌がりますが、大事な治療です。
・呼吸がしんどいときは、肩枕をする(タオルを折って横長に肩甲骨の下に入れます)、体を起こし気味にする(リクライニング)、抱っこするなどでラクになることがあります。
・あかちゃんがいるおうちでは、ご兄弟が掛かった場合できれば隔離してあげてください。鼻汁や唾液・それが付いた物への接触・便などからうつります。

★入院が必要となるのは?
①呼吸が苦しく酸素化が保てない、②哺乳や経口摂取ができない、③細菌感染を合併している、④低月齢(生後0-2ヶ月程度)などがあれば入院が必要となります。特に早産・心臓や呼吸器の持病・21トリソミー(ダウン症)などのあるお子さんでは重症化しやすく注意が必要です。

★はやめに受診・再診した方が良いときは?
〇肩で息をしている、胸が凹むような呼吸をしている、ゼーゼーがひどい
〇顔色が悪い
〇ミルクや飲水ができず、おしっこが少ない
〇高熱が持続する


★最新の予防について
RSウイルス自体の治療薬はまだありませんが、新しい予防方法が2024年に3つ登場しました。
① アブリスボ:はじめて開発された母児免疫ワクチンです。妊娠24週~32週のお母さんに接種することで、あかちゃんにRSウイルスの免疫をつけます。半年以上は効果があると言われています。海外先進国では普及してきましたが、日本では一部の産婦人科で接種できます。実勢費用は3万円台です。
② ベイフォータス:長期間作用型のモノクローナル抗体製剤、つまりRSウイルスをやっつける抗体そのものを注射で補充し、1回打てば最低150日、おそらく1年以上効果があります。ただし、健康保険や乳幼児医療証を使えるのは早産児や心疾患・ダウン症児など限られています。それ以外の児にも適応はありますが、自費となるため非常に高額です(46~91万円!)。フランス・スペイン・アメリカなどでは全乳児でRSウイルスの初回流行時に推奨されていますが、2024/6現在アメリカでは1回455$(約7万円)。まったく同じお薬なのに、なぜか全く値段が違います。
③ アレックスビー:はじめて認可されたRSウイルスへのワクチンで、60歳以上の方に適応があります。今のところ自費での単回接種(実勢費用2万円台後半)で、少なくとも1年以上効果があることはわかっています。現在、どれくらい効果が続くかは治験中で、そのうち追加接種の目途(何年後に再接種するのが良いか)がわかると思います。
まだまだ課題はありますが、そのうち普及してくると思われます。

はらだ小児科・内科・アレルギー科 原田太郎