インフルエンザワクチン(予防接種)の解説|八尾市・大阪市平野区|はらだ小児科・内科・アレルギー科|小児科・新生児内科・アレルギー科・内科

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インフルエンザワクチン(予防接種)の解説

インフルエンザワクチン(予防接種)の解説|八尾市・大阪市平野区|はらだ小児科・内科・アレルギー科|小児科・新生児内科・アレルギー科・内科

インフルエンザワクチン(注射)って?

季節性インフルエンザの重症化を防ぐために接種します。これまで馴染みのある注射による不活化ワクチンと、2024年から日本でも承認された鼻腔投与による生ワクチンがあります。(ここでは従来からの注射ワクチンの解説をします。末尾に、経鼻生ワクチンの説明もあります。)

ワクチンには、2015年以降4種類のインフルエンザ株を不活化したものが含まれています。毎年流行予想に基づいて検討されますが、近年はA型2種(H1N1 pdm09、H3N2)とB型2種(山形系、ビクトリア系)が含まれていることが多いです。

インフルエンザ全般については、別ページ(←リンク)で解説しています。)
インフルエンザ経鼻生ワクチン(フルミスト)も、別ページ(←後日リンク予定)で解説します。)

インフルエンザワクチンって、効くの?

よく、「ワクチン打ったのにインフルエンザにかかってしんどかった」なんて声をお聞きします。インフルエンザワクチンの効果は約4か月間と短いこと、ワクチンと違う型のウイルスが流行することもあるため、ワクチンを打っていても高熱に苦しむことはあります。型が当たっていても、しっかりとした症状が出ることもよくあります。

でも、それはわかっていることなのです。ワクチンによっては「かからないこと」を目的としているもの(ポリオ・破傷風など)もありますが、インフルエンザワクチンは「重症化しないこと」を目的としています。つまり、急性脳症や重症肺炎になりにくいようにするのが一番の目的なのです。もちろん接種は任意ですが、私は一小児科医として接種は推奨しています。

 

ワクチンの接種方法や費用は?

生後6か月~12歳の方は2回、13歳以上の方は1回接種です。2回接種の方は、最低2週間、理想は4週間程度あけて接種します(当院では予約システムで3週間以上あけて予約が取れるようにしています)。

12歳未満で2回打てなくても、効果がないわけではなく、1回でも打ってることは打ってないのと大きな違いだと考えています。実際に海外では、はじめて接種する年以外は1回接種のところもあります。

逆に、13歳以上の方に1シーズン2回接種することもあります。高校や大学受験生などで、もしかかってもできる限り軽症で済ませたい、といった希望がある方には、2回接種することもあります。

費用は任意接種のため医療機関によって変わりますが、当院では2024年シーズンは~12歳が2,500円/回、13歳~3,500円/回としています(毎年ホームページの「お知らせ」にて9月頃に公開しますので、ご確認ください)。65歳以上の方や、60歳以上の方で特定の持病がある方などは、市区町村から補助がありますのでご確認ください。

 

ワクチンの副作用(副反応)は?

注射した場所が腫れて熱くなったり、痛くなったりします。また、寒気や頭痛をともなうこともあります。発熱することもありますが、通常は軽度で1日以内に治まります。

一般的には妊婦さんにも接種可能です(赤ちゃんにも抗体が移行するので、赤ちゃんの予防効果にもなります)。

まれに呼吸困難やショックなど、重症な副反応がでることもあると言われています。卵アレルギーでも問題なく接種できることが大半ですが、強度の卵アレルギーのある方や、これまでインフルエンザワクチンで副反応が強かった方は、注意が必要です。

 

 

―Colum①―
以前大きな病院にいたときは、数日前まで元気だったという小学生や中学生が、インフルエンザによる急性脳症や呼吸不全で命を失ったり、一生モノの障害を抱えることになる場面に何度か立ち合いました。そして、そういった方はほとんどワクチンを接種されていませんでした。

そのうちのお一人のご家族から「(インフルエンザワクチン非推奨を掲げられている)かかりつけ医に、僕の患者さんでワクチンを打ってなくてしんどくなった人を見たことがないから大丈夫、と言われていました」と聞かされました。もちろん接種していてもそんなことにならなかったのかはわかりませんし、接種していなくても重症化しない人が大半です。でも、、急性脳症になった場合は救急搬送されて集中治療となりますし、そのご家族は二度とそのクリニックには行きたくないと話しをされていました。ですので、その先生はその子の経過を知る由もなく、いまだに同じ発言をされているのだろうと考えると、やるせない思いがあります。

 

―Colum② 新型インフルエンザだったA/H1N1 pdm09―
私が神戸大学にいた2009年、新型インフルエンザの流行がありました。2020年の新型コロナウイルスに比べると社会的な影響は小さかったですが、それでも世界中が緊張する大流行でした。特に神戸は日本で最初に罹患者が3名発見され、神戸大学にも入院となったため大騒ぎだったのを覚えています。

では、その新型インフルエンザ株は今どうなっているのでしょうか? 実は、季節性のインフルエンザ株A/H1N1 pdm09(パンデミック2009年株)として広まっているのです。罹患歴のある方や、ワクチン株として採用されたため、おそらく抗体保有者が増え、以前ほど重症患者が多く発生することはなくなりました。

とはいえ、pdm09株の病原性はインフルエンザの中でも強いのです。コロナ禍以前は3年に1回程度の流行があり、それまでその株に接点のなかった1-3歳ぐらいの幼児に重症化する子が、ちょくちょくいました。

日本でもほぼポストコロナの時代となり、pdm09株の流行も再び繰り返すことと思います。そういったときに重症化をできるだけ防ぐためにも、インフルエンザワクチンの接種は大切だと感じています。

はらだ小児科・内科・アレルギー科 原田太郎