便秘症は、意外に多い!|八尾市・大阪市平野区|はらだ小児科・内科・アレルギー科|小児科・新生児内科・アレルギー科・内科

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便秘症は、意外に多い!

便秘症は、意外に多い!|八尾市・大阪市平野区|はらだ小児科・内科・アレルギー科|小児科・新生児内科・アレルギー科・内科

★便秘症って、実は多くて、怖いんです。

小児救急の当直をしていると、夜間に腹痛で救急車を呼ばれた方の中で1・2に多いのが、実は便秘です(もうひとつは胃腸炎)。

お話を伺い、診察をすると、十中八九で目星が付きます。でも、親御さんに説明すると、「こんなに痛がって泣き叫んだりしているのだから、便秘ごときじゃなく、もっと怖い病気じゃないの!?」と思われているのを感じます。でも、浣腸をしてスッキリすると、子どもたちは噓のようにご機嫌になります。急性期の治療としてはある意味、非常にシンプルな治療で症状が著明に改善する、治療し甲斐のある病気です。

ご家族からは、非常に感謝されるとともに、「なーんだ、ただの便秘だったのか」といった感想をよくお聞きします。

でも、ちょっと待って下さい。便秘を慢性化させると、身体は慣れてきます。排便機能が育たず、直腸などの大腸が徐々に膨張してくるため、ひとまず本人はへっちゃらです(大食いの方の胃自体が大きくなっているのと同じ)。でも、状態は徐々に悪化しており、ひとたび症状が出はじめると、日常的に腹痛を繰り返して日常生活がままならなくなったり、全身麻酔下で摘便(ビリヤードの玉状にカチカチとなった宿便を、道具や指を使って、肛門から砕いて取り出すこと)が必要になることもあります。また、憩室炎や出血・痔・夜尿症(おねしょ)・尿閉・尿路感染症・菌血症・嘔吐症・体重増加不良など、さまざまな病気の原因ともなります

たかが便秘、されど便秘。急性期の治療より、日常の管理や治療がとても大切な病気なのです。

 

★便秘症の定義

いちおうの定義としては、自然排便が週に3回未満の状態とされていますが、年齢や便の性状・症状によって個別の判断が必要です。

例えば、毎日排便があっても便秘の方がおられます。それは、食べたものが便として排泄されるまでとても長い時間滞留していたり、直腸に大きな宿便(ずっとそこにある便)があってその横を通ってやわらかい便が出ているだけ、といった場合です。

また、慢性の下痢で受診される方にも、実は便秘が本態だという方がおられます。これは、硬い便がまず出てから、奥で交通渋滞していたやわらかい便が後から多量に出てくるため、見た目としては下痢になるからです。

 

★便秘症を疑う症状

急性の便秘を疑うのは、急激な腹痛で、左下腹部もしくは腹部全体の痛みで、発熱などの感染徴候がないことです。

一方で、以下のような症状があれば、慢性的な便秘症を疑います。

〇排便が週3回未満 〇便が硬い 〇下痢が続く 〇排便時に痛みを訴える 〇排便時に強く息む 〇巨大な便が出る 〇便失禁がある

 

★便秘症の診断

何よりも大事なのは、ご家族や本人からのお話です。それにおなかの診察でおおよその目星は付きます。

便秘の程度や状態をみるために、レントゲンや腹部エコーを適宜行います。腸炎や虫垂炎(もうちょう)などの除外や栄養状態をチェックするために、血液検査を行うこともあります。

 

★便秘症の治療

〇グリセリン浣腸

急性期の治療としては、浣腸によって排泄を促します。本人は嫌がる治療ですが、リスクは小さいながら、効果は大きいです。浣腸してもすぐに出してしまうと入れた浣腸液だけ出てしまうので、数分なりと排便を我慢してもらうのが大切です。1回で出ない場合は、少し時間をおいて繰り返すときもあります。また、慢性の便秘症ではしばらくの間、定期的な浣腸を行うこともあります。

〇食事や飲水習慣の改善

飲水をしっかりすることと、繊維質の食事をおすすめします。

〇生活習慣の改善

年齢にもよりますが、決まった時間(できれば食後の1日1-2回)に、余裕をもって(急かさず)、排便しようとトイレに座って気張る習慣をつけます。また、排便や便意を我慢しなくて良いということを、本人に感じさせることも大切です(お出かけ中に「ママ、うんち」といった際に怒られて、それ以降うんちを我慢するようになる子もいます)。規則正しい生活や、適度な運動も必要です。

〇肛門周囲の治療

便秘で大きな硬い便が出る際に広げられて痛かったり、肛門周囲が切れて痛かったり、痔になって痛かったり、便秘の方は排便時の痛みの経験があります。それによって排便を怖がり、余計に便秘が悪化します。そのため、肛門や皮膚の状態にあわせて塗り薬などを使用し、徐々に「うんちしても痛くない」成功体験を感じられるようにします。

〇内服薬

酸化マグネシウムやモビコールといった、便自体を柔らかくさせる薬から始めることが多いです。宿便が解消されても腸の動き(蠕動運動)が弱っていて自力で出しにくい場合は、ピコスルファートなどの腸を動かすお薬(蠕動刺激薬)を使用します。その子の状態にあわせて、使用薬・量・回数などを調整していきます。

 

便秘症を疑ったら、まずはお気軽にご相談ください。

はらだ小児科・内科・アレルギー科 原田太郎